2013年9月11日水曜日

くやま小児科だより9月「大切な子どもの時間~ネット依存から守りたい」

◆大切な、子どもの時間 
 ~ネット依存から守りたい


先日、インターネット依存(ネット依存)の中高生は全国で推計51万8千人(8%)になる、と厚生労働省研究班が発表しました。身の回りを眺めると、ネットから離れられずにいる人々は幼児から大人まで、年齢に関わらず広がっているように思います。

<不登校になったBくん>

中学生のBくんが親御さんと来院されました。
受験が近く大切な時期なのに、昼夜逆転で登校できず、成績も下がってしまった、というご相談です。
生活の様子を聞くと、ネットゲームに熱中してやめられないことがわかりました。
幸いBくんには「これではいけない」という自覚があり、ご家族の協力もあって生活リズムを取り戻し、学校に行けるようになりました。
ネット依存は原因のことも結果であることもあり、問題が根深く深刻なケースもあります。
身体的な理由以外で学校に行けない場合、小児科医はまずいじめや家庭の問題などを考えますが、ネット依存にも注意が必要だと感じた一例です。


<ネット依存とは?>

携帯端末やパソコンでゲームやチャットなどのサービスを使い続け、やめられなくなり、Bくんのように健康や社会生活に支障が出ている状態をいいます。
その兆候として、厚生労働省研究班の調査項目では、

・ネットに夢中になっている。
・満足を得るため、使用時間をだんだん長くしていかない
 といけないと感じている。
・使用時間を減らしたり、完全にやめようとしたがうまく
 いかなかったことが度々ある。
・使用時間を短くしたりやめようとしたとき落ち着かなか
 ったりイライラする。     が挙げられています。

このような依存が高じると、学校や仕事に行かなくなったり、家事や育児を放棄したりして、家庭崩壊、借金、事故や犯罪に繋がることもあり、社会的にも見過ごせない問題となってきています。
医療においては、世界的に影響力を持つアメリカ精神医学会が新しい依存症に分類する準備を行っています。


<対策はあるの?>

我が国ではまだ実態も十分把握されているとはいえず、対策についてはこれから、という状況です。
専門的な治療も、アルコール依存などに取り組んできた専門病院で始まったところです。
対策先進国の韓国では、悩みを聞く24時間ホットライン、16歳未満の子どもに夜間ゲーム接続を制限する制度、独自の診断尺度を小4、中1、高1に実施して依存と判定された子どもは親と一緒にカウンセリングを行う、等の取り組みが行われているそうです。
こうした様々な対策が急がれる一方で、しかしどんな病気も治療より予防が一番大切です。
この、今や避けることのできないネット社会でどう生きていくか、それをどう子どもに教えるのか、が問われていると思います。


<小さいうちから、予防の意識を>

親御さんたちは、子どもの心身の健康にとって、規則正しい生活、身体を使って思いきり遊ぶこと、いろいろな実体験が何より大切だということをよくご承知と思います。
そして子ども時代は、後から取り戻そうとしても決してできない、その人の「根っこ」を育てる時間だということも。
当院では乳児健診のときに、テレビの視聴時間をお聞きしています。
これは、長時間のテレビ視聴は運動不足や間食との関連性があることが1つの理由ですが、テレビやビデオはインターネットへの入口でもありますので、誰かと遊んだり、本を読んだり、体を使う習慣を考えるきっかけにしていただきたい、それも小さいうちから、という願いがこめられています。




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