2013年4月12日金曜日

くやま小児科だより 4月 「食物アレルギーと学校生活」

※今年度から園長先生の甥御さんで千葉で小児科医を開業されている久山 登医師の発行されている「くやま 小児科だより」の青梅幼稚園ブログへの転載の許可をいただきました。
子どもに関する保健情報をお届けいたします。


◆食物アレルギーと学校生活
新学期が始まりましたね。はりきって登園、登校しているお子さんたちの顔が浮かびます。中には、いろいろの病気を持って集団生活を送るお子さんもあるでしょう。どの子にも楽しい毎日であるよう応援しています。
中でも給食とアレルギーの問題は身近なものなので、取り上げてみましょう。
 
<食物アレルギーは増えていますか?>

年度替わりに、園学校にアレルギーの管理表等の提出がありますが、当院で記入する方は年ごとに増えています。
「食物アレルギーの診療の手引き2011」では乳児の10%、保育園と幼稚園児の5%、小学生の2%程度となっています。
食物アレルギーはアナフィラキシー型(即時型、遅延型)とアトピー型に分けられますが、緊急対応が必要になる可能性があるのはアナフィラキシー型です。
2006年~2011年の、日本でのアナフィラキシーショックによる死亡は、年間50~70人です。原因で一番多いのは薬物、次は蜂で、食物は大人も含めて年間4~5例で、死亡するほどの重症は増加していません。治療が必要なケースは、年間5~6千人と推定されています。
当院では現在、軽症は数十人、緊急時の対応が必要な方は6~7人おられます。
最近学校で食物アレルギーによる生徒の死亡事故が発生し報道されましたが、食物アレルギーは数も多く、園、学校でのきめ細かい対応が求められる時代になっています。

<どんな症状に気をつける?>

一番よく見られる症状はじんましんです。
じんましんだけですめば軽症ですが、咳、息苦しい、喘息などの呼吸器の症状、顔色が悪い、ぐったり、血圧低下などの循環器症状、嘔吐、下痢が出現したら、緊急の治療が
必要です。
原因食物を食べて1~15分で症状が出るのを即時型、2~5時間してから出るのを遅延型といいます。
緊急なのはほとんどが即時型です。
予防接種の後しばらく様子に気をつけるのは、この即時型のアレルギーが出ることがあるからです。

<症状が出たらどうしたらいいの?>

前に書いたように、じんましん以外のアナフィラキシー症状が出たら、すぐに医療機関へ。
必要なら救急車を呼んでください。
もし緊急治療用の注射薬(エピペン)があったら、救急車到着や受診を待たず、まず注射してください。
ためらわれることが多いですが、もし必要ない場合に注射しても健康を害することはまずありませんし、後で責任を問われることもありません。迷わず使ってください。
アナフィラキシーで救急受診の可能性がある方は、対応する病院を消防署に登録する制度がありますので、主治医にご相談ください。

<食物アレルギーは治りますか?>
いくつかのアレルゲン(ソバ、魚介類、ピーナッツなど)は現在のところ、一生食べないほうがよいと言われています。しかし乳幼児に一番多い、卵・乳製品・小麦は、小学校入学頃には半分以上が食べられるようになります。
少量ずつ食べて慣らす「減感作(げんかんさ)療法」という治療法があります。
はじめは入院して慎重に行うことが多いです。
専門病院を紹介しますのでご相談ください。

*食べられてすっかり明るくなったAくん*
複数の食物へのアレルギーがあり、幼稚園からお友だちと同じ給食が食べられなかったAくん。
アナフィラキシーを起こして当院を受診され、専門病院に紹介しました。エピペンの注射器を預けての幼稚園生活でした。
でも減感作療法を頑張るうちに、今までだめだった食物が食べられるようになりました。そして次の減感作のための入院を楽しみにしています。
明るくなり、みんなと同じ食事がとれるのはこんなに大きなことなんだ、と実感しました。
周囲の人たちの協力と見守りも大きかったです。



「くやま小児科だより」より転載

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